◇龍の涙★

 

「せ、せ、せ、セリリちゃん!!」

「はい、なんですか?すけとうだらさん」

 おお!あのセリリちゃんが振りかえってくれた!お、オレ様だって海の男!思いきって声をかけてみて良かった・・・・・・!ああ、振り返るたびに風に揺れる青い髪・・・透き通るような人魚のうろこ・・・・・・なんて魅力的なんだ、セリリちゃんってば!!

「・・・・・・すけとうだらさん?」

 ハッ いかんいかん、本題に入る前に彼女に不信がられてはっっ!とにかく早く彼女の心をゲッチュウ・・・

「あ、あのさぁ・・・セリリちゃん・・・・・・」

 勇気だ!男は勇気だ!!勇気を出すんだ、オレ様よ!!

「あ、あの・・・この辺の海域に『龍の涙』っていうとってもきれいな真珠があるんだけど・・・・・・一緒に見にいかないかい!?」

 い、言えた!言えたぞ!!さすがオレ様、これでこそ海の男だァ〜〜!はっ、酔いしれてセリリちゃんの答えを聞き逃しては元も子も・・・

「いいですよ?」

 アッサリ。って、えええ!?

「せ、セリリちゃん!ま、もしかして今、いいと・・・・・・!」

「はい、かまいません。・・・・・・ちょっと今まで誰もお話してくれないからちょっぴりさみしかったんです。」

「そ、そうだったのか・・・」

 くっ、もうちょっと早くに声をかけるべきだったぜ・・・・・・!

「じゃ、じゃあさ・・・早速行こうか。」

「あ、ちょっと待ってください。シェゾさーん!」

 ・・・・・・・・・ナニ?

 傍らの岩陰から黒服の青年が出てくる・・・と思いきや、出てきたのはアロハシャツにビーチサンダルの銀髪ヤローだった。

「ん?オマエはたしか、うろこさかなびとのセリリ・・・」

「うれしいっ!覚えていてくれたんですか!やっぱりシェゾさんは私のお友達なんですね・・・!」

「セ、セリリちゃ・・・・・・」

「あの、シェゾさん・・・この間『龍の涙』という真珠を知らないかって聞いてくださいましたよね・・・」

「あ、ああ・・・そんなようなコトもあったような・・・・・・」

 ええ!?ま、まさか、セリリちゃ・・・・・・!!

「あの、私・・・あの時は知らないとしか言えなくて、とっても悲しかったんです・・・・・・。でも、聞いてください!このすけとうだらさんがその真珠のあるところを知っているそうなんです!!」

 そう言ってセリリはさっとすでに石となったすけどうだらを、シェゾに両腕で差し出した(怪力!)。

「ほう・・・!」

 そんな得意げなセリリの発言に興味をそそられたのか、アロハシャツ姿のシェゾはサングラスを軽く持ち上げ、固まったすけとうだらに詰問した。

「その話は本当なんだろうな、すけとうだら・・・!」

 鋭い眼光に触発されたのか、すけとうだらは一気に正気を取りもどし、・・・・・・少々行きすぎてしまったようだ。

「な、なななな・・・なぁ〜にが悲しゅうてこの海の男すけどうだらさまが貴様みたいなヘンタイ魔導師を海の中にまで案内しなければならないんだ――――――っっ!?」

「ひっっ!!」

『!?』

 すけとうだらの逆上後の絶叫に答えたのは、息を思いっきりのんだような・・・今にも泣き出しそうな引きつった声。見ると、海の中から上半身だけ出したままのセリリが、瞳いっぱいに涙を溜めながらしゃくりあげているのが見えたのだった。さて、大変なコトになるぞ、と。

「ひ、ひどい・・・・・・ひどいわ、すけとうだらさん・・・!お友達だと思ってたのに・・・お友達だと思ってたのに・・・・・・お友達だからきっと私の言うコト聞いてくれると思ったのに・・・・・・そう思ったのに、そんなヒドイこと言うなんて・・・・・・・・・・・・っっ!!」

シェ&たら『・・・・・・・・・・・・(声が出ない)』

「あんまりだわああぁぁぁあぁぁぁ―――――――――っっっ!!」

ドォォォォォォンッッ!!!

『ぐっは―――――――――!!』

 みごと津波はすけとうだらのみならずシェゾをも当然まき込んで、さらに海沿いで遊んでいた子どもたちをも引き込みそうになり、危険を察知したサタン様が助けた者を除いて(要するにシェゾとすけとうだら)は、海の彼方へ一旦去り、数時間後に土●衛門危機一髪となって浜に打ち上げられたのだった・・・・・・。

 海草まみれになったシェゾのそばに、アルルにルルー、そしてウィッチがものめずらしげに見物に来た(シェゾはいまだにばたんきゅ〜)。なにげに木の枝でつんつんとシェゾの額をつついていたルルーが、その異変に気付いた。

「あら!これって『金のワカメ』!!これは深海の底でしか取れない神秘の高級食用藻じゃない!早速お料理してサタン様にお出ししなきゃ!」

と、いそいそとシェゾの右手から幾重にも絡まったワカメをはいでいった。ウィッチもウィッチで、

「まーっ!!なんってコト!これは伝説の海獣リヴァイアサンのヒゲにしかならないという超伝説の薬剤『海獣のハナミズ』!?ちょっと誰かスポイト持っていませんこと!?」

と、行ってしまった。ちゃっかりシェゾの着ていたアロハシャツをも脇に抱えて・・・・・・(オイ)。

 あとにボーゼンと残されたアルルとカーバンクル・・・・・・もうすぐ夕方だっつーのに、このヘンタイにーちゃんは起きそうにない。すけとうだらも同様のようだった。

「やれやれ・・・・・・。おーい、シェゾ大丈夫ー?」

 肩を強めにたたいてみるが、ぐるぐるうずまきの目の模様はいっこーに取れる気配はない。カーバンクルもシェゾの胸板に乗って、ぴょんぴょん飛び跳ねたりしているのに、である。アルルはため息をついて、しばらくほっとくコトにした。

「ぐっぐぐー」

「ん?なに、カー君」

 見るとカーバンクルは小さな右手に何か光るものを持っていた。どうしたのか聞いてみると、なんとシェゾの口の中にあったらしい。

「げ!?マジ、カー君!」

「ぐぅー!」

「取っておけ?うー・・・確かにキレイなんだけど・・・・・・」

 そういうと、カーバンクルはおもむろにその珠(らしきもの)を口に入れようとした。

「っだーっ!まぁた、もう、キミはヘンなモン口にいれちゃダメだって言ってるじゃないか!出しなさいっ、カー君!!」

 間一髪でカーバンクルの口から取り出した珠を握って、アルルはもう一度それを見た。もうこうなればシェゾの口であろうとカーバンクルの口であろうと関係はない。傾きかけた太陽にそれをかざすと、それはちょっぴり青みがかったきれいな石のようなモノだというコトがわかった。

「へー、さっきのルルーたちといい、海って奥深いもんだね」

 とりあえず、その石はポケットにしまってアルルは意識のないヤツのそばで、しばらく夕日を眺めていた。

 

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ヒトコト どっからそれたんだっけ・・・・・・?(汗)