里親募集、巡り逢い

  ペットショップで子犬や子猫が買えるのはなぜ?  生体陳列販売のなぞ!

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商売は、消費者に求められているもの需要のあるものを供給することで成り立っています。
生産者、販売店は流行などを察知し多く売れるものを生産販売する。至極当たり前のことで、より多くの利益を求めるのはビジネスの考えとしては間違っていません。
問題があるのは、生体販売における利益の出し方でその生産方法と販売方法です。

そもそも、ペットショップで売られている子犬や子猫その他幼年齢の動物は、成長する生き物であり、それらの一生を育成飼養する目的があるので終生飼養を基本条件に販売されていなければなりません。
ジュエリーや装飾品などのように、衝動的な購買意欲をそそる販売方法であってはならないのですが、現在の日本では愛護動物(ペット)の繁殖や販売の基準となる明確な法規制がないために売る側のやりたい放題で節度というものがありません。
なぜ明確に規制できる法整備をしていないのか、それは生体販売がペット産業の一端を担っており、業者の利益優先で成り立っている産業として位置づけられているからではないでしょうか。
育成のための生体販売という根本の目的を無視し、命を扱うという基本から完全に逸脱しているのです。
俗に販売業界では、健康な子犬子猫(購入者からクレームがつかない)を見分ける目をもち管理できるようになるには100匹殺して一人前といわれているそうです。数字にすると、仕入れが1匹5万円として500万円の損失。経験値に対する授業料というところでしょうか。それほどまでに管理が難しいにもかかわらず、免許制度がなく各地方自治の管轄部署に動物取扱業登録申請をし許可書をもらえば容易に誰でも生産販売できるのですから、犬猫など離乳をしていない8週齢未満の生体を陳列し、購買意欲を高める為だけの展示方法をしている販売店などは、売れた子犬や子猫が死のうが生きようが利益になればいいということです。また、そのような業者に許可書を発行している地方自治も生体の生産販売について同様の考えであるといえます。


もし、本当に育成を目的として命に重きをおいて生産販売しているのなら、法規制があるなしにかかわらず生産者は離乳をするまで母に子を育てさせるでしょうし、生体にストレスがかかる展示販売をしているショップには卸さないでしょう。
販売店は、ベルトコンベアー式の競り市場で生体を仕入れたりせずに、健全な生体を繁殖する知識と環境を持つブリーダーを選んで契約し、販売時にはアンケートなどをとって飼い主の資質を判断し、衝動買いを誘導するような販売はしないのではないでしょうか。
行政が本気で愛護動物の育成や命に重きをおいて生体販売を許可しているのなら、繁殖や生体の取り扱いを業者や購入者のモラル頼りにせず、命を守るための細やかで明確な基準を持つ法律に改正し違反に対しては厳しく取り締まるはずです。

購入者は、小さい方が可愛い、幼い方が扱いやすい飼いやすいと思っているのでしょうか。
手軽に手に入る場所で売られていたから買った。というのも購入理由なのでしょうが、展示販売しているショップや通販、ネットショップなどで生体を買う人の大多数は衝動買いではないかしら。言い方はよくありませんが、販売店の販売手法にのせられているのです。時間をかけて何日も、買うか飼えるか十分考えたとしても、買いたい衝動が何日も続いただけのことで衝動買いであることには違いがありません。

衝動買いではないと言うのであれば、良識あるブリーダーから直接買うでしょうし、ショップで買うにしても血統書以外にショップの展示方法や販売員の生体の扱い方、その個体の流通経路、離乳前に隔離された子(競り市場にかけられた個体)なのか?繁殖業者の母体の飼育環境を聞く、調べるぐらいのことをしてしかるべきなのです。
なぜなら、販売店は売ることが目的なので、陳列展示されている子犬や子猫たちが健康優良であるとは限りません。

購入した子犬や子猫に少しでもトラブルが起きると、売る側の言い分と買う側の言い分は水掛け論で終始してしまい。どちらも非を認めず、自己弁護他人批判の平行線です。
つまり、購入したペットが死んでしまっても相手の責任にして損失を取り戻したい、損失を出したくないと言い争っているだけで、結局は、虚弱な子犬や子猫にあたった自分の運が悪かった。というところで双方の意見なり気持ちなり、少しばかりの無責任感に決着をつけることになるのです。
生体販売が産業として成り立っている現在の日本では、ペットの命に重きをおいているところはどこにもないということです。

ペットの生体販売が物品の産業と同様に扱われる要因の1つに血統書の存在があると思うのですが、血統書付というだけで価値を感じる人がいるのはなぜでしょうか?
正当な血統書にはもちろんそれなりの価値があります。
純血であることを証明しドッグショーやキャットショーで評価されるための価値です。
なので、購入した個体をショーに出場させ、優秀な評価を得てブリーディングに利益利用する。または転売する以外に血統書自体の利用価値はないと考えられます。

血統書付きの犬や猫がステイタスシンボルであることは間違いないのですが、この血統書が意味する内容を深く理解している人は日本でどれくらいいるのでしょうか?

2008年のクラフツドッグショーでチャンピオンに選ばれた犬は、イギリスのケンネルクラブが発行している犬種基準にある理想体型をしたジャーマンシェパードでした。その犬が失調性歩行という状態だったのをご存知でしょうか?後ろ足の筋肉が弱く正常歩行ができないのです。それでもチャンピオン犬なのです。
異常に歪められた人間の美意識価値によって作り出される純血種には、遺伝子疾患があるからこそ、その犬種基準に示された特徴が表れるものもいます。言い換えれば、その犬種で価値ある評価を得るためには遺伝子疾患、先天的な病気のある犬でなければならないのです。
ドッグショーに参加していたブリーダーや審査委員のコメントは、ドッグショーの犬は立ち姿やその体型を重視しており、警察犬などのように作業をする目的ではないので、多少の歩行困難や遺伝的な疾病などは審査に影響しない。遺伝子疾患によって犬が苦しむ事は重要な問題ではない。犬種基準を満たした体形であることが大切。というようなものでした。つまり、世界のトップブリーダーと呼ばれる人たちは、犬本来の能力や健康、生き生きと走る姿よりも、生きた飾り物として形を作ることに犬の価値があると考えているのです。
この血統書という物は、所有者のステイタスシンボルであって健康体の証明書ではありません。言い換えれば、純血を守るために近親交配を重ねた結果、その種特有の遺伝子疾患を持っている可能性が高い証明書だといえます。

血統の登録に関して国際的に権威のあるイギリスのケンネルクラブが発行している犬種基準で、犬の健康と福祉を最優先すべきだと改め近親交配を規制するよう明記したのは2009年1月になってからです。
動物愛護が進んでいる国でさえやっと、外見だけではなく動物の健康を考慮し、遺伝病の拡散防止に配慮した交配をしてほしいとブリーダーに協力を求めたのです。

では、経済先進国といわれる日本、動物愛護・福祉に関しては発展途上なのは世界が知る所ですが、その日本のジャパンケンネルクラブが発行する証明書には一般の購入者にとってどのような価値があるのでしょうか。

ここで1つ前置きしておきたいのが、イギリスと日本のブリーディングに対する基本的な概念の違いです。産業革命後の中産階級の人々が有り余る資産をおしみなく使って自分の愛犬を自慢するためにブリーディングを始めたイギリスと、限りある予算で金儲けのためにブリーダー業をビジネスと考える日本では、犬の扱いに180度の差があるということです。イギリスのケンネルに登録している全ブリーダーが犬のために支払っている医療費は週で150億円といわれています。

ステイタスシンボルである血統書には、一般にブランドイメージが少なからずあると思うのですが、ではブランドからイメージするものには一般流通品ではどのようなものがあるでしょう。
家電メーカーならば、パナソニック、ソニー、シャープ、日立、三菱、サンヨーなどなど
自動車メーカーなら、トヨタ、日産、ホンダ、ダイハツ、マツダ、スズキ、ベンツ、フォードなど
食肉ならば、松坂牛、神戸牛、米沢牛、イベリコ豚、黒豚、金華豚、名古屋コーチン、比内地鶏などなど、数え上げればきりがありませんが、ブランドに共通するイメージは、高品質、安全、安定、保証など高級ブランドには高額&優越感などでしょうか?
所有して消費されていくものと、所有して成長させる生命体を比べることは愚の骨頂と思うのですがあえて当てはめてみると、血統書の品質(犬種基準)は、姿かたち見栄えのよさだけの質なので高品質といっても、性能が良い壊れにくい(完全健康体、病気になりにくい)わけではありません、ペットの安全、安定、保証などは、育て方、しつけ、飼育環境次第で良くも悪くもなり、死なない保証、病気にならない保証なんてできるはずもありません。他のブランドイメージと重なるものはほとんどないのです。しかし、実際にはステイタスシンボルというだけでイメージを重ねている人も少なからずいるように思います。

一部の生産者や販売者は、このブランド(血統書)のイメージを利用して子犬や子猫の大量生産大量販売で利益を上げているのです。商売の基本、売れるから大量生産する。儲けるために大量に売っているのです。
大量生産といっても、24時間機械をフル稼働させて作れるものでなく、子供を産ませなければならないのですからその生産性はきわめて効率が悪いものです。飼育設備や生産管理(交配・健康管理)、子供を産まなくなった後の飼育管理など、生産物が育成目的の生き物であることをふまえ常識で考えれば、生産コスト、管理コストがかかる割に利益率が低く、これをビジネスとするならとても産業として成り立つものではありません。ペット業界に参入している大手企業がブリーディングに着手しないことからもビジネスとして成り立たないのが分ると思います。
子犬を産業生産物としか考えていない一部のブリーダーが利益を得るために、生産率を上げてコストを下げようとするのはビジネスとしてはごく当たり前のことで、扱っているのが生体でなければ経営努力といったところでしょう。
簡単に実現できるコスト削減方法として、医療費削除、餌代削減、人件費削減、飼養管理費削減、施設の設備投資費削減などがあげられます。
そして、これらのコスト削減を全て実行し成り立たないはずの産業を成り立たせているのがているのが、パピーミルといわれる施設であり、多くの愛護団体などが問題提起しメディアなどでもたまに報道されている「悪質ブリーダー」と呼ばれる人たちなのです。
ペットブームで巨大化するペット産業、日本で販売されている子犬や子猫は、パピーミル「子犬の生産工場」出身が少なくないと思われます。

彼らのコスト削減方法を具体的にあげると、冷暖房など空調設備のない建物、水や餌は死なない程度の量を数日に1度、または数週間に1度不定期に与え腐敗していても取り替えない。糞尿処理をしない。伝染病の予防、ワクチン接種、病気治療など医療行為を一切行わない。多頭数を所有するため狭いケージを積み重ね建物の空間を最大限に利用、親犬が使用不能(子供が産めなくなる)になるまでケージから出さない。それぞれの母犬に毎年(5年〜8年間)2回出産させる。親犬が使用不能になれば、餓死または、遺棄、行政施設へ処分依頼などの方法で廃棄する。猫の場合もほぼ同じ。

母犬が疥癬で皮膚がただれていても、頻繁な出産と栄養不良のため顎の骨が溶けていても、感染症で眼球が潰れていても、親が血統書つきならば、生まれた子犬や子猫がきわめて不衛生な場所で生まれ、母子感染による病気のキャリアであっても、子犬が生きた状態で購入できれば血統の登録ができるのです。血統書が正当でなければならない理由は、大量販売のために生産される時点で既になくなっていると思います。大量生産者、販売者にとって血統書とは、販売価格を高額にするためのもので、その内容が示す意味より専門機関が発行した書類又は類似する書類さえ付いていればいいということになるのです。

純血種を購入して健康体じゃなかった。先天的な病気のある子犬、子猫を売られた。と販売店や生産者にクレームを言いたい気持ちは分りますが、そもそも血統書の意味する内容をよく考えもせず、ステイタスシンボル欲しさに近親交配による遺伝子疾患を持っている可能性が高く、免疫の問題で感染症にかかりやすい純血を好んで選んでいるのは誰でしょう。純血という問題以外にも、完全に離乳しておらず免疫が不十分でウイルス性、細菌性の病気にかかりやすい幼年齢の子犬や子猫を、可愛いからという理由で手軽に買える販売店で選んでいるのは購入者なのではないですか。
ブリーディング以外の目的でペットを買う一般の犬好き猫好き飼い主にとって血統書とは、ペットの育成過程で遺伝的疾患が表れる確率を予測し、それにかかる医療費を計算するデータとして利用する価値しかないのです。
残念な事にデータとして利用する事さえしない飼い主が日本には大勢いると思われます。そうした人々にとって血統書はもはや単なる値札でしかありません。
産業として成り得ないはずの生体生産がペット産業の一端を担っているのは、需要と供給の間で採算が取れているということであり、販売者と購入者の血統書に対する価値観、ペットに対する価値観が一致しているからではないでしょうか?

2009/11/13
参考資料:『イギリス 犬たちの悲鳴 〜ブリーディングが引き起こす遺伝病〜』2008年イギリスBBC制作/NHK放送


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