「名医」って何?
こだわる必要があるの?
Q. 私ね「名医」とか「名医ランキング」って言葉、嫌いなんだ。大体ね、お医者さんが一生懸命診てくれてるのに、「この人名医だ」とか、「名医じゃない」って考えるの失礼じゃない。
A.もう40年位前の日本医師会長の武見太郎さんって言う人が面白いこと言ってるんだ。「日本の医師の3割は、欲張り村の村長さん。3割は学問的にも倫理的にもきわめて高い医者。残りの3割はどっちつかず」って。
Q.なによ、その「欲張り村の村長さん」って。
A.自分のクリニックや地域、それに専門分野の、せまい縄張りの中で、大した技術もなく、勉強もしないで、威張り散らして、お金儲けのことだけ熱心な医者のこと。「算術医」とも言ってる。患者が「ほかに治療法はないんですか」などと言おうものなら、「おれが治せないものは世界中どこへ行っても治せない」と他の医者を決して紹介しないのもこの村長さんの特徴だ。
Q.
へー。そんな医者が3割もいるの。
A.最近は国の予算の中で医療費の配分が少なくなっているから、こんな医者がもっと増えてる。
Q.「どっちつかず」ってどういう意味?
A.日本の医療は保険診療で、決まった診察・検査・治療をして、決まった薬を出しておけば、国から支払ってくれる。公務員みたいなもんだ。
その上一度医学部を卒業してペーパーテストと研修病院での一年間の研修(2004年卒業生から実施)を受けて医師免許をとれば、、一生一度も更新やチェックを受けることなく、どんな科の診療も、80歳でも90歳になってもできる
Q.エー、車でも3年か5年に更新があるじゃない、あれって最近けっこう厳しいんだよ。
A.日本の医者はそんな風に甘やかされているから、多くの医者が、医師免許と保険診療に乗っかって、安定した生活だけをむさぼっている。そういう医者を、名医でもない、算術医というほどでもないと、「どっちつかず」っていってるんだ。
Q.じゃ、「欲張り村の村長さん」と「どっちつかずの医者」で、医者の6割から7割くらいいるじゃない。ほんとにそうなの。
A.そうだよ。保険診療では、上手な医者が一度の手術で治してしまうより、下手な医者が一度失敗してもう一度やり直すほうが、収入は良くなるんだ。
美容外科<美容整形>は名医が1割、算術医が9割
Q.そうなんだ。で、美容外科<美容整形>の医者もやっぱりほかの科と同じなの。
A.美容外科<美容整形>は、「どっちつかず」がほとんどいなくて、名医が1割、算術医が9割だ。
Q.へー、どうして。
A.医学部の学生の時に、美容外科<美容整形>とか形成外科を「面白そうだな、やってみようか」って思った人は形成外科で研修をうけて、形成外科医や美容外科医になる。これが1割。
Q.それが普通だよ。じゃほかの9割の美容外科<美容整形>医っていうのは、美容外科<美容整形>とか形成外科に興味なくって、研修も受けなくて美容外科<美容整形>医になってるの。
A. たとえば内科クリニックやってて、国の医療費が少なくなってきて、下手な医者や、立地の悪いところのクリニックは収入が減ってくる。「何とかしなきゃ」と思ってる。「うちもレーザーでも入れて脱毛やシミとりやってみようか」と美容外科<美容整形>を始める。レーザーのメーカーの指導員が付いてくれるからしばらくやれば何とかできちゃう。
病院の勤務医でも 「もっと楽してお金を儲けたいな」と思ってると、医療情報誌などにに美容外科<美容整形>のチェーン店の医師募集の求人広告が「美容外科<美容整形>医募集、年収1500万円、要医師免許、科不問、研修制度あり」って出てる。行って見ると早速採用。一週間ほど鼻にシリコンを入れたり、簡単な二重まぶたの手術を教えられて、すぐ患者を治療する。「美容外科<美容整形>医一人誕生!」ってわけさ。
そういう美容外科<美容整形>医が9割。
Q.そんなむちゃくちゃな!
それに 美容外科<美容整形>が儲かりそうだって思っても、美容外科<美容整形>のちゃんとした勉強も何もしていないのに、クリニックに美容外科<美容整形>の看板かけたり、美容外科<美容整形>の手術をしたりできるのっておかしいじゃない?
A.日本では医師免許さえあれば何科のどんな治療でもできる。医者の数が少なくて、たとえば一人の医者しかいない
村があった時代には、一人の医者が何でも診ることができるシステムが必要だったけれど今ではその必要はない。ところがそういうシステムだけが日本では残っている。極端な例を出せば、一度もメスを握ったことのない医者でも、心臓手術をしようと思えば法的にはできる。ま、そんなことをすれば患者さんが死亡して殺人罪になるから誰もしないけれど。そういう、今では全く役に立たない、昔のシステムを悪用しているのが、金儲け本位で実力のない自称美容外科<美容整形>医なんだ。
Q.でもどうして、ほかの科が儲からなくなるのに、美容外科<美容整形>だけ儲かるの?
A.美容外科<美容整形>以外の科は、病人が出ないとどうにもならない。
ところが美容外科<美容整形>は病人じゃなくて、健康な人のコンプレックスを治す。逆に言えばコンプレックスを刺激すれば患者はいくらでもつくることができる。
「あなた鼻が低いね」「二重まぶたが美人の条件だよ」「もうちょっとアゴのエラがなければねえ」「小顔が流行だよ」などなど。医者が言わなくても、ファッションや化粧品の業界が煽り立てる、そういう流れに乗っかることができる。それに保険診療じゃなくて自由診療だから料金は取り放題。
Q.でも最初は一週間ほどの研修で患者を診るようになった医者だって、自分で努力したり、先輩に聞いたりしてだんだん上手になるんでしょう。
A.大学の形成外科の研修とはレベルがまったく違う。大学の形成外科の研修は、交通事故で顔がぐちゃぐちゃになった患者をその場で、命を救うだけでなくきれいに修復できるように外科医といっしょに手術したり、ガンの患者さんのガン切除部をきれいに修復したりなど、非常に高度だ。
金儲け本位で実力のない 美容外科<美容整形>医院にそういう患者は来るはずがないし、先輩の医者も同レベルで、きちんとした研修施設もないから、いつまで経っても技術は上がらない。患者扱いとお金儲けのノウハウはしっかり身に付くけれど。
Q.そういう人が、大学の形成外科で研修することってできないの?
A.いい加減な美容外科<美容整形>で高額の給料に引かれて美容外科<美容整形>やってる医者や、きのうまで内科の看板だけかけてやっていたのに今日から美容外科<美容整形>の看板かけているようなクリニックの医者は。医者の魂を売ったみたいなもんだよ。そう言う医者が「形成外科で研修受けさせて欲しい」と言ったって「はい、どうぞ」ってならない。研修期間中は、無給に近いくらい収入も減る。そういう状況に、高給に引かれて美容外科<美容整形>をやってる医者が耐えられるはずがない。
Q.医者って偉い人だって思ってたけど、普通の人なのね。
A.しばしば普通の人以下。一般の商店に買い物に行っても、店主や店員が商品の知識が十分にあって、客が欲しいものをサッと出してくれて、店になければすぐ取り寄せてくれたり、他のお店を紹介してくれたり、また商品のアフターケアをきっちりやってくれるお店もあれば、店主も店員も横柄でやる気のない店もあるし、逆にこちらの欲しくない商品を強引に高い値段で売りつけようとする店もある。 名医っていうのは、今言った最初の、店主や店員のことなんだ。
Q.なるほど、そう考えればいいんだ。
A.商品だったら、後になって「あの店は役に立たない商品を高値で売りつけた。これからはあの店だけは行かない」でいいけれど、美容外科<美容整形>でいい加減な医者にかかって失敗したときには、それだけではすまない。体も心もその医者にかかる前より傷ついてしまう。